記念すべき第1回目の記事。
1分間にまとめたショート動画はこちらから。
5401 日本製鉄のアレコレ&株価
日本製鉄の会社概要について
・設立:1950年4月1日
・本社:東京都千代田区丸の内
・資本金:419,799百万円
・従業員数:113,639名(2024年3月31日現在 公式HPより)
元々は1901年に日清戦争の賠償金を元手につくられた「官営八幡製鉄所」がルーツ。
そして2012年に住友金属工業と合併して「新日鐵住金」となり、2019年4月に「日本製鉄(にっぽんせいてつ)」と名称変更。
国内最大手の製鉄メーカーであり、粗鋼生産量(=鉄の生産量)は国内ダントツでシェア1位。近年では中国が圧倒的な粗鋼生産量を誇る中、日本製鉄は世界シェア4位と検討中。
鉄鋼業界について
日本製鉄は国内の鉄鋼業界のドン的な立ち位置であるが、そもそも鉄鋼業界はどのような業界なのだろうか?
そもそも鉄の作り方は大きく分けて2種類あって、高炉転炉法と電炉法の2種類に分かれる。
【高炉転炉法と電炉法の違い】
まずは下図を見て頂きたい。
(出展:日本鉄鋼連盟鉄をつくる|調べて学ぶ|みんなの鉄学より)
まぁ要するにこういう風に鉄を作るんですよ、ということなのだ。
正直この図を見ただけでは意味不明ではあるが、結局は高炉転炉法では鉄鉱石と石炭で化学反応をさせて鉄を作り、鉄スクラップを溶かすことで鉄を作ることが電炉法という製造方法であると考えて頂ければ良い(と思う)。
特に高炉設備はかなり大がかりなものであって、一度鉄を作ると簡単に止めることが出来ず、24時間体制での操業を余儀なくされる。なぜかというと、鉄が冷めて固まってしまうと生産ラインがストップしてしまうからだ。
一方で電炉法は原料の鉄スクラップを電気の力で溶かすことで鉄にしている。こちらは都度生産が可能で小ロットの鉄を何回も繰り返して作るというイメージだ。
ではなぜそのような2つの作り方があるのかというと、電炉の方が新しい製法であるからだ。
考えてみて頂ければイメージが捗るかと思うが、電気の歴史はそもそも浅く、そのようなエネルギーを使用して鉄を溶かすだけの設備を作ることはつい最近の出来事である。とはいうものの実に100年前には完成されていた技術である。
一方で高炉転炉法はというと、鉄鉱石を石炭で還元するという実は結構原始的な方法で作られており、1850年代に編み出された革新技術から今日に至るまで使用されている技術となる。
では日本製鉄はどちらかの製法を使用しているかというと、高炉転炉法がメインである。日本製鉄のことを高炉メーカーと呼ぶが、他に高炉メーカーといえば、実は日本には以下の2社しかない。
・JFEスチール
・神戸製鋼所
対して、電炉メーカーはというと、高炉メーカーの10倍の30社近いメーカーが存在する。
ではここで、粗鋼生産量のシェアを見てみよう。
日本の2023年の粗鋼生産量は8,700万㌧であり、その約半数を日本製鉄が作っているということになる。業界シェアは圧倒的だ。もちろん、JFEスチールも1/4以上のシェアはあるものの、日本製鉄の牙城を崩すことはかなり困難であろう。
図を見て頂くと分かる通り、日本の粗鋼生産はほぼ高炉転炉法が主となっている。
ちなみに、日本製鉄の世界粗鋼シェアは第4位。JFEが13位、神戸製鋼が62位となっている。ちなみに、中国の粗鋼生産量はなんと10億㌧であり、世界の約半数の鉄は中国で作られていることになっている。2位はインドで1.4億㌧。3位が日本となっている。
なお、中国でシェア1位、つまり世界第1位の粗鋼生産シェアをもつ「宝武鋼鉄集団」の2023年粗鋼生産は1.3億㌧。上には上がいるということを突き付けられる現実となっている。1つのメーカーで日本の粗鋼生産量を軽く凌駕するといったレベルだ。
補足すると、中国は基本的には日本と同じ高炉転炉法が主流。
さて、そんなこんなで少し長くなったので、日本製鉄の事業内容や財務状況・株価の研究は次の記事にて。
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